バリアフリー旅行.com

文字サイズ
メニュー▼

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚に障がいのある方が安心して暮らせる社会を実現するには、物理的なバリアだけでなく「見えにくさ」に対する理解や配慮が欠かせません。

本記事では、視覚障がい者の方々が直面する課題と、それに対してどのようなバリアフリーの取り組みがなされているのかを、具体例を交えながらわかりやすく紹介します。

生活の中で見逃されがちな障壁に気づき、誰もが安心して暮らせる環境づくりへの第一歩としてご活用ください。

視覚障がいとは何か/どのような種類があるか?

視覚障がいと聞くと「まったく見えない状態(全盲)」を想像する方が多いかもしれませんが、実際には視覚の機能低下にはさまざまな段階があります。

このセクションでは、視覚障がいの定義や分類について解説し、どのような「見えにくさ」が存在するのか、正しい理解を深めることを目的としています。

視覚障がいの定義と分類

視覚障がいとは、目の機能に障がいがあり、日常生活や社会活動に制限が生じる状態を指します。

日本の障害者基本法では「身体障害者」の一つとして定義され、身体障害者手帳の交付対象ともなります。

視覚障がいは大きく以下の2つに分類されます。

このように、視覚障がいには多様な状態があるため、一括りにするのではなく、「どう見えにくいのか」を理解することが支援や配慮の第一歩となります。

ロービジョンの多様性と困りごと

ロービジョンの方は、光の加減や距離感、コントラストにより「見えるもの」と「見えないもの」が日々変化します。

たとえば、晴天時の屋外ではまぶしさによりほとんど何も見えなくなったり、逆に暗い室内では段差が認識できなかったりするケースがあります。

また、視野が狭くなることで人とすれ違うときに肩がぶつかってしまったり、障害物に気づけず転倒する危険もあります。

こうした「見えにくさ」は外見からは判断しづらく、周囲の理解が得られにくいことも、当事者にとっての大きなバリアとなっています。

ロービジョンの方々にとっては、「声かけ」「情報提供」「物理的配慮」のすべてが必要不可欠です。

視覚障がい者にとってのバリアとは/実際の生活場面での困りごと

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚障がい者が日常生活を送るうえで直面する「バリア」は、段差や障害物といった物理的な障壁だけではありません。

見えにくさを前提としていない情報提供の方法や、周囲の理解不足といった「社会的・心理的なバリア」も大きな障壁となります。

このセクションでは、実際の生活場面で視覚障がい者がどのような困難を抱えているのか、具体的な例を交えて紹介します。

移動時に感じる危険と不便さ

視覚障がい者にとって、移動は日常の中でも特に多くのバリアに直面する場面です。

以下のような問題が報告されています。

東京都の調査では、「点字ブロックの上に物が置かれているのを見たことがある」と答えた人が6割以上に上る結果が出ており、実際に視覚障がい者の通行を妨げるケースが多発していることが分かります。

情報取得やコミュニケーションのバリア

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚障がい者にとっては、文字情報を読み取ることや、視覚的な案内を頼りにすることが難しいため、情報取得やコミュニケーションにも障壁があります。

このような情報やコミュニケーション上の課題は、「伝える側が見えることを前提として設計している」という根本的な認識のズレに起因しています。

視覚障がい者が日常生活を安心して送るには、こうしたバリアの存在を理解し、改善する意識が社会全体に求められています。

公共空間・交通・建築におけるバリアフリーの現状と法制度

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚障がい者にとってのバリアを解消するには、施設や交通機関などのハード面の整備が欠かせません。

日本では法律や制度によってバリアフリー化が進められてきましたが、現場ではまだ十分とはいえない課題も残されています。

このセクションでは、視覚障がい者に関連するバリアフリー施策の法制度と、公共空間・交通・建築における現状を解説します。

国内法制度・ガイドラインの概要

日本では、視覚障がいを含む障がいのある方々が安全に暮らせる社会を実現するために、以下のような法制度が整備されています。

こうした法制度は、視覚障がい者を含む多様な人々が安全に移動・利用できる社会の基盤を築くことを目的としていますが、現実には制度と運用の間にギャップが生じている場面も少なくありません。

最新調査で見える「視覚障がい者対応」の課題

国や自治体が実施する調査からは、バリアフリー整備の進捗だけでなく、その不十分さや課題点も浮き彫りになっています。

例えば、国土交通省の報告によると、点字ブロックの敷設率や音声案内の導入は年々改善されている一方で、ロービジョン者への対応が遅れているという指摘があります。

たとえば、色のコントラストや段差の視認性といった配慮は、法的な義務ではなく努力義務にとどまっているケースも多く、実際の整備状況にばらつきがあります。

また、駅やバスターミナルなどでの情報提供においては、可変表示板の位置が高すぎたり、音声案内が周囲の雑音で聞き取りづらいなど、設備の存在だけでは不十分であるという声もあります。

実際に使う視覚障がい者の立場から設計・評価されていない事例も多く、ハード面の整備と実用性のギャップが課題とされています。

さらに、地方の公共施設や民間施設では、バリアフリー設計そのものが進んでいない地域も存在しており、都市と地方での格差も見逃せません。

バリアフリー整備は「設置すること」が目的ではなく、「誰もが使いやすいこと」が本来の目的であることを再認識する必要があります。

情報・コミュニケーションのバリアとICT/支援技術の活用

視覚障がい者にとって、移動や空間だけでなく「情報を得ること」そのものにも多くの障壁があります。

情報が視覚に依存して設計されている場面では、文字が見えない、操作画面がわからないといった課題が生じ、日常生活や社会参加に大きな影響を与えます。

このセクションでは、視覚障がい者が直面する情報・コミュニケーション上のバリアと、それを解消するために活用されているICTや支援技術の動向を解説します。

情報アクセスにおける課題(読書・案内表示・ウェブ等)

現代社会では、情報の多くが「視覚」を通じて伝えられています。

視覚障がい者にとって、情報を得る手段が限定されることは、生活のあらゆる場面で大きなハンディキャップとなります。以下に代表的な課題を挙げます。

2021年に国立国会図書館が行った「視覚障がい者の読書環境に関する調査」では、多くの当事者が複数の情報取得手段を併用していることが明らかになりました。

点字、大活字、音声、電子書籍、拡大読書器などの選択肢が増えてはいるものの、社会全体が「見えること」を前提に作られている以上、情報格差は依然として大きな課題です。

ICT・補助機器・技術による支援の動向

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚障がい者の情報アクセスを支える技術は年々進化しており、ICTの発展により、かつては困難だったことも可能になりつつあります。ここでは、代表的な支援技術と活用事例を紹介します。

こうした技術の発展は、視覚障がい者の情報アクセスに大きな可能性をもたらしますが、同時に「対応している施設・場面が限られる」という課題もあります。

技術は整っていても、それを活用できる環境や社会の理解が伴わなければ、本当の意味でのバリアフリーにはつながりません。

私たちができる配慮・「心のバリアフリー」の実践

バリアフリーは施設や設備だけで成り立つものではありません。見えにくさや不自由さに対する「気づき」や「思いやり」といった心の配慮も、視覚障がい者にとっての大きな支えになります。

このセクションでは、私たち一人ひとりが日常生活のなかで実践できる配慮や、周囲の意識を高めるための工夫について紹介します。

日常での具体的な配慮ポイント

視覚障がい者への支援や配慮は、特別な知識がなくても誰にでもできるものです。以下のような行動は、日常のなかで簡単に取り入れられ、当事者の安全と安心につながります。

東京都が実施した「心のバリアフリーに関する意識調査」によると、「点字ブロックの上に物を置くのを見たことがある」と答えた人は65.1%にのぼります(東京都調査、2020年)。

これは、配慮の必要性がまだ十分に理解されていないことを示しています。まずは「知らなかった」から「気をつけよう」へ、そして「行動しよう」へと意識を段階的に変えていくことが、視覚障がい者が安心して生活できる環境につながっていきます。

意識改革と周囲の理解を深めるために

「心のバリアフリー」は、私たち一人ひとりの意識の変化から始まります。しかし、日常的に視覚障がい者と接する機会が少ないと、どう配慮してよいか分からないという人も少なくありません。だからこそ、教育や情報提供を通じて、社会全体の理解を深める取り組みが重要です。

たとえば、東京都の調査では、心のバリアフリーを促進する有効な手段として、次のような方法が挙げられています。

こうしたアプローチによって、「視覚障がい」というテーマが特別なものではなく、日常生活に根づいた話題として共有されていくことが期待されます。

また、地域の防災訓練やまちづくりのワークショップに視覚障がい者の参加を促すことで、当事者の声を活かした「共生の街づくり」が進むきっかけにもなります。

誰かの役に立ちたいという気持ちが、ほんの一歩の配慮や声かけにつながり、それが当事者の安心と社会の優しさに直結する――それが心のバリアフリーの本質です。

より住みよい社会へ/これからのバリアフリーと視覚障がい

視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介

視覚障がい者にとってのバリアフリーは、段差をなくすだけの取り組みではありません。

情報の届け方、環境設計、そして何より「周囲の理解と配慮」がそろって初めて、真のバリアフリー社会が実現します。

本記事でご紹介した具体例や課題を通じて、視覚障がいに対する理解を少しでも深めていただけたなら幸いです。

今、私たちにできることは、小さな気づきと行動の積み重ねです。点字ブロックをふさがない、困っている方に声をかける、ウェブや施設が視覚障がい者にも使いやすい設計かを見直す――そんな一歩が、住みよい社会をつくっていきます。

まずは身近な環境に目を向けて、「見えないバリア」に気づくところから始めてみませんか?関心を持たれた方は、関連団体の資料を調べたり、他の関連記事を読むことで、さらに理解を深めることができます。

介護旅行・障がい者旅行の専門サイトバリアフリー旅行.comお役立ち情報

老人ホームで働くスタッフ様必見!利用者様への食事提供のお悩みはこれで解決!
老人ホームで働くスタッフ様必見!利用者様への食事提供のお悩みはこれで解決!
バリアフリー お風呂を実現する方法 ~安全性と快適性を両立するポイント~
バリアフリー お風呂を実現する方法 ~安全性と快適性を両立するポイント~
視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介
視覚障がい者に配慮したバリアフリーの例とは?身近にある取り組みを紹介
スロープの勾配基準と安全設計ガイド — 自宅・外構で失敗しない方法
スロープの勾配基準と安全設計ガイド — 自宅・外構で失敗しない方法