- 投稿日 2025/12/23
- 更新日 2026/01/07
障がい者でも安心して旅行を楽しむための補助金・支援制度の活用法
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高齢者施設様向けp>
付き添いp>
知識p>
障がいのある方やそのご家族にとって、旅行は心身のリフレッシュや思い出づくりの大切な機会です。
しかし、移動や宿泊に関わる不安や費用面の負担が理由で、外出や旅行をためらっている方も少なくありません。
実は、日本各地の自治体や国の制度には、障がい者の方がより安心して旅行を楽しむための補助金や支援制度が数多く用意されています。
本記事では、「どんな補助制度があるのか」「どうすれば利用できるのか」「申請の流れや注意点」などをわかりやすく解説します。
旅行をあきらめる前に、まずは自分に使える支援制度がないかをチェックし、安心で快適な旅を実現しましょう。
目次
障がい者向け旅行・外出支援制度とは
旅行や外出をサポートする制度には、障がいのある方が安心して移動できるよう設計されたさまざまな仕組みがあります。
ここでは、代表的な支援制度の種類と、それぞれがどのような場面で利用できるかを解説します。
移動支援・同行援護・行動援護の違いと使い分け
障がいの種類や状況によって、適した外出支援サービスは異なります。
例えば、視覚に障がいがある方は「同行援護」、知的障がいや精神障がいがある方は「移動支援」や「行動援護」の対象となります。
- 移動支援:日常生活に必要な外出(買い物、余暇活動など)をサポート。支援者が付き添い、安全な移動を補助します。
- 同行援護:視覚障がい者が外出する際に、視覚情報の提供や移動支援を行う専門的な支援。単独では困難な場面で大きな助けとなります。
- 行動援護:知的障がいまたは精神障がいがある方に対し、予測困難な行動や突発的な反応に対応できる支援を提供。公共交通機関の利用や観光施設での安全確保が図れます。
これらの制度は、基本的に市区町村単位で提供されており、支援の内容や利用条件、自己負担額などは自治体によって異なります。
外出の目的が「通院」や「就労支援」だけでなく、「旅行」や「観光」でも対象となる場合があるため、まずはお住まいの自治体に相談してみましょう。
補助金や助成金で何が支援されるか
旅行関連で活用できる補助金や助成制度には、大きく分けて以下のような支援内容があります。
- 移動支援に伴う費用補助:移動支援員の人件費や、福祉タクシー・公共交通機関の利用にかかる費用の一部を負担。
- 宿泊費の助成:市区町村が指定する施設に宿泊する場合、障がい者本人と同伴者の宿泊費を一部補助する制度。
- 観光施設の割引:障害者手帳の提示により、動物園・博物館・水族館などで入場料が割引または無料になるケースが多くあります。
- 交通費の割引・無料化:JRや私鉄、バス、航空などで「障がい者割引」が適用されることが一般的です。
これらの制度を上手に活用することで、旅行にかかる負担を大幅に軽減できます。
特に宿泊や移動の支援は金額面でのサポートが大きいため、利用できる制度を事前に調べておくことが重要です。
宿泊や観光で使える補助・割引制度の例
障がいのある方が旅行を計画する際、宿泊費や観光施設の利用料を補助・割引する制度を活用することで、より身近に楽しむことができます。
ここでは自治体や公共施設で利用できる代表的な制度の例を紹介します。
都道府県・自治体の「休養ホーム・宿泊助成制度」
全国の多くの自治体では、障がい者向けに「休養ホーム事業」や「宿泊助成制度」といった名称で、保養・休養を目的とした旅行費用の一部を支援しています。
例えば、東京都では「障害者休養ホーム事業」として、指定宿泊施設に宿泊した場合に、障がい者本人および同伴者(最大1名まで)に対して宿泊費を補助しています。
助成額は一泊あたり数千円程度で、年度内に利用できる回数や上限が決まっている場合が多いです。
主な特徴は以下のとおりです:
- 対象者:身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳などを保有している方
- 補助対象:宿泊費(食事代は対象外の場合あり)
- 助成金額:例)一泊につき2,000〜5,000円程度
- 申請方法:事前申請が原則。予約前に自治体や福祉事務所に相談する必要があります
- 利用制限:年に2回まで、2泊までなど回数制限がある場合があります
この制度は都道府県によって内容が異なり、対象となる宿泊施設も限られているため、利用の際には早めの確認が大切です。
交通機関・観光施設での割引/優遇制度

旅行には移動や観光施設の利用がつきものですが、障害者手帳を提示することで様々な割引を受けることが可能です。
【交通機関での主な割引例】
- JR各社:身体障がい者および知的障がい者が介助者と一緒に乗車する場合、運賃が50%割引(第1種障がい者)
- バス・地下鉄:地方自治体の公共交通機関でも障がい者割引制度が導入されており、運賃が半額または無料となることがあります
- 航空会社:国内線において障がい者割引運賃が設定されているケースが多く、事前の予約・証明書提示が必要です
【観光施設での主な割引例】
- 美術館・博物館・動物園など:多くの公共施設では障がい者および付き添い者1名まで無料または割引されるケースが一般的です
- テーマパーク・レジャー施設:一部の大型施設では、障がい者専用窓口や優先入場サービス、車いす貸出なども併せて提供しています
これらの割引制度は、特に地方観光を計画する際に有効です。施設ごとに対応が異なるため、事前に公式サイトや電話で確認し、当日は手帳を忘れずに持参することが大切です。
補助金が適用される条件と申請の流れ

障がい者向けの旅行補助制度を利用するには、一定の条件を満たし、所定の手続きに従って申請を行う必要があります。このセクションでは、補助制度の多くに共通する「対象者の条件」と「申請の流れ」を解説します。
障がいの証明(手帳など)と対象者の確認
ほとんどの補助制度では、対象となる障がいの種類や程度を証明するために、以下のいずれかの公的な手帳の提示が求められます。
- 身体障害者手帳:肢体不自由、視覚・聴覚・内部障がいなどのある方
- 療育手帳:知的障がいのある方(地域により名称が異なることがあります)
- 精神障害者保健福祉手帳:精神障がいのある方
制度によっては、「第1種・第2種」など等級による制限が設けられている場合もあります。
また、介助を必要とする場合には、同伴者も補助の対象になるケースがあります。
例えば、同行援護制度では、視覚障がいのある方に対して移動や情報提供の支援を行う人(ガイドヘルパー)も制度の対象となり、利用者本人と同伴者両方の条件を満たす必要があります。
そのほか、対象年齢、住民登録地、課税状況(非課税世帯など)といった条件が加わることもあるため、利用したい制度の詳細を必ず自治体に確認してください。
申請方法・注意点(予約、申請期限、同伴者の扱いなど)
補助制度の利用には、事前申請が原則です。申請から利用までには一定の期間が必要なため、旅行計画と並行して早めに手続きを行いましょう。基本的な流れは次のとおりです。
【申請の流れ】
- 制度の確認
市区町村の福祉課や障がい福祉窓口で、利用可能な制度の種類と要件を確認します。 - 必要書類の準備
障害者手帳、本人確認書類、申請書、旅行計画書など、制度ごとに必要な書類を揃えます。 - 申請手続き
自治体の窓口または郵送で申請します。オンライン申請に対応している自治体も一部あります。 - 審査・決定通知
申請内容が審査され、利用可否が通知されます。利用券や助成書類が発行される場合もあります。 - 利用当日・精算
宿泊先や移動サービスの利用時に、補助適用書類を提出して割引や費用負担の軽減を受けます。
【注意点】
- 申請期限に注意
「利用日の2週間前までに申請」「予約完了後は申請不可」など、制度には明確な締切があるため注意が必要です。 - 同伴者の条件
同伴者も補助対象となるかどうか、介助者としての登録が必要かなど、事前に確認が必須です。 - キャンセルポリシー
助成対象となる場合でも、キャンセル時の扱い(費用返還の要否など)を事前に確認しておきましょう。
制度ごとに申請様式や手続き方法は異なりますが、「余裕をもったスケジュールで準備する」ことが最も大切です。

制度の限界と、利用時の注意点
障がい者向けの旅行支援制度は多く存在しますが、すべてが十分に機能しているとは言えません。
制度を利用する際には、利便性と同時に「制度の限界」や「現場での実際の運用」を理解しておくことが重要です。
支援制度の地域差と情報の“見えづらさ”
日本の支援制度は自治体ごとに内容や条件が大きく異なります。
これは、補助金やサービスが「市区町村単位」で設計されているためです。例えば、同じ障がいのある方でも、住んでいる地域によって「支援が受けられる内容や範囲」が大きく変わるという課題があります。
具体的には、ある自治体では宿泊費を年に2回まで助成しているのに対し、別の自治体ではその制度自体が存在しない、あるいは対象施設が極端に少ないといったケースがあります。
また、制度の情報自体が分かりづらく、ホームページに掲載されていなかったり、更新が滞っていたりすることも少なくありません。
このような“情報のバリア”は、旅行を検討する段階で大きな障壁となります。
利用者自身が制度を調べ、自治体窓口に問い合わせるなど、積極的な情報収集が求められます。
バリアフリー対応・「心のバリアフリー」の課題
旅行においては、補助制度だけでなく、目的地や宿泊施設、交通機関の「受け入れ体制」も重要です。
近年、バリアフリー法の整備により物理的な設備の改善は進んでいますが、まだ完全ではありません。
- 物理的な課題:
スロープの未整備、車いすでのアクセスが難しい宿泊施設や観光地、トイレの未整備など、インフラ面での対応が不十分な施設もあります。 - 人的対応の差:
スタッフの理解や対応が不十分な場合、「本当に受け入れてもらえるのか」と不安を感じる利用者も少なくありません。 - 障がいに関する知識や接遇への理解不足から、対応が不親切になるケースも報告されています。
このような「心のバリア」が旅行の楽しさを損なってしまうこともあります。
近年では、国土交通省が「心のバリアフリー」認定制度を推進しており、ハード面とソフト面の両方を整備した施設が徐々に増えてきています。しかし、まだ普及率は高くありません。
また、補助制度についても「手続きが煩雑」「事前申請が多くて柔軟性に欠ける」「助成額が少ない」といった利用者の声があるのも事実です。
制度を利用するためには、多くの準備と確認作業が必要であり、こうした負担が旅行をあきらめる原因になることもあります。
旅行を楽しむためには、制度のメリットだけでなく、その限界やリスクも理解した上で、柔軟に対応する姿勢が求められます。
今後の動向と、より使いやすい旅行を実現するために
障がいのある方がより快適に旅行を楽しめるよう、国や自治体では「ユニバーサルツーリズム」の推進や、「心のバリアフリー」認定制度の整備が進められています。
これらは、物理的なバリアをなくすだけでなく、接遇や案内体制といった“心の配慮”にも重点を置いた取り組みです。
今後はこうした認定施設の拡充や、支援情報の見える化が進むことで、より安心して旅行を計画できる環境が整っていくと期待されています。
制度を上手に活用するためには、旅行先の支援制度や施設の対応状況を事前に調べ、利用条件や申請方法を早めに確認しておくことが大切です。
必要な準備を整えておくことで、障がいのある方にとっても、移動の不安を軽減しながら自由な旅が実現しやすくなります。
これからの旅行は、「制度を知る」ことが、安心と自由を得る第一歩となるでしょう。
