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これで解決!知っておきたい車いす旅行の移動に関してのノウハウを教えます!

はじめに

車いすの方と旅行に行きたいと思っても、車いすのまま飛行機や電車に乗ることはできるの?何か特別な手続きが必要?など、分からないことが多くて結局旅行に行くことを諦めてしまう…なんてことはありませんか?

車いすで移動や旅行をする際に皆さんが気になるポイントや知っておくと便利な情報をまとめました。車いすの方との旅行を検討している方必見です!

各交通機関の車いす対応や注意すること、予約方法など

車いすで旅行をする際には、各交通機関がどのような車いす対応をしているのか、どうやって予約するのか、など気になることがたくさんありますよね。
旅行の際の主な移動手段である飛行機、新幹線、福祉タクシーの車いす対応をそれぞれ詳しくご紹介します!

飛行機

北海道や沖縄など、車や電車ではなかなか行けない遠方の旅行。飛行機で移動するのは、なんとなくハードルが高い気がしてしまい、つい避けてしまう方も多いのではないでしょうか。
各航空会社とも身体の不自由な方に配慮した様々な取り組みを行っているので、車いすの方でも飛行機で安心して移動することができます。

≪予約から搭乗までの流れ≫

■航空券の予約
航空券を予約する際は、航空会社のHPや電話から予約をすることができます。
車いすの方が搭乗する場合は、事前に航空会社に情報を伝えておく必要があるので、車いすの方が搭乗する旨を予約時に伝えるようにしましょう。インターネットで予約をした方は予約後に各航空会社のサポートデスクで連絡を受けています。
車いすの方が搭乗する際には、航空会社から主に下記の項目の確認があります。スムーズに答えることができるように事前にまとめておくとよいでしょう。

①歩行状況や症状
ご自身で歩行や階段の昇り降りはどのくらいできるのか、搭乗の際に車いすをどこまで(飛行機の入口まで、機内の座席近くまでなど)利用したいかなど。

②身の回りのことをお一人でどれくらいできるか
飲食やお手洗い、座席のボタン操作などをお一人でできるかどうかなど。
※難しい場合はお付添いの方の搭乗をお願いしています。

③座席の希望
車いすからの乗り降りが行いやすいように通路側でひじ掛けが可動式の座席や化粧室に近い座席、足元のスペースが広い座席などのご希望の座席がないかなど。

④車いすについて
ご利用の車いすについては下記の点の確認があります。
・手動車いすか電動車いすか
・折り畳み、横倒し可否
・サイズ(奥行・横幅・高さ)
・重量
・電動の場合、バッテリーの種類(ニッケル水素、リチウムイオンなど)

■搭乗手続き・保安検査
搭乗当日、空港に着いたらカウンターで搭乗手続きをします。
予約時に伝えたことを再度確認されることもあるので、改めて予約時に伝えた情報を確認しておきましょう。
搭乗手続きが終わったら保安検査を受けます。保安検査は門型の金属探知機を通りますが、航空会社によっては金属探知機をスムーズに通過できるように、木製の車いすを用意していることもあります。搭乗手続きの際にスタッフの方に確認してみると安心ですね。

木製車いす一例(※JAL公式HP参照)

■搭乗
保安検査が終わったら搭乗口に移動します。機内の準備が出来たら一般のお客様よりも優先的に機内へご案内いただけるため、スムーズにご搭乗できます。機内のトイレは狭いので搭乗前に済ませていただくのがおすすめです!
航空会社からの貸出用車いすはひじ掛け、もしくは車輪の着脱が可能なので、車いすに乗車したまま機内へ進むことができます。
ひじ掛けが可動式になっている座席の場合は、車いすからの移乗もしやすいです。

■機内
機内ではシートベルトを締めていただきます。
座位を保つのが難しい場合は、上体固定用補助ベルトにて座席に身体を固定することができますし、終始横臥となる方の場合はストレッチャー(簡易ベッド)を利用することも可能です。
上体固定用補助ベルトやストレッチャーを利用する場合は、航空券の予約時に伝えておくようにしましょう。


■到着
航空機が止まり、シートベルトサインが消えたら降りる準備をして、順番に飛行機から下りましょう。到着空港では、空港用の車いすをご用意いただけます。
到着ロビー手荷物引取所や航空機出入口付近でお客様自身の車いすの返却があるまでは、空港用車いすを利用できるので到着空港でも困ることなく移動可能です。

≪航空機内の化粧室≫
航空機の機材によっては、機内用の車いすでご利用いただける化粧室の用意があります。
化粧室のドアが大きく開くため、車いすでも入りやすく、内部には補助用の手すりが取り付けられている場合もあります。 お手洗いをご利用の際は、客室乗務員の方にお声掛けいただくと、機内用車いすで化粧室までご案内いただけます。

列車

続いては、新幹線や特急列車などの乗車前に下記のポイントをご確認ください!車いす対応をご案内します。
飛行機よりも比較的気軽に利用できるため、乗車予定の方も多いかもしれませんね。
乗車前に下記のポイントをご確認ください!

≪車いすの方向け座席・設備≫

■車いす対応座席
車いす対応座席は、原則すべての新幹線車両に設置されています。設置されている車両は路線などによって異なります。例えば、東海道新幹線は11号車の12番C席と13番C席というように各新幹線によって設置車両が決まっているので、乗車する新幹線の車いす対応車両を確認してみると良いでしょう。
普通車の場合、3列座席の通路側1席分空いたスペースが車いす対応座席となります。車いすに座ったままでご利用いただくことも可能ですし、座席に乗り移ることが可能でしたら座席に移動して利用することもできます。車いす対応座席には車いすを固定できるベルトが備えつけられているので、車いすに座ったまま利用する場合でも安心です。

車いす対応座席一例(※JR西日本公式HP参照)

■車いす用フリースペース
北陸新幹線の一部列車では、車いすスペースを4席設置した車いす用フリースペースをご利用いただくことができます。
内2席分のスペースは窓側になるため、車いすに乗ったまま車窓の景色をお楽しみいただくことができます。

北陸新幹線車いす用フリースペース一例(※JR東日本公式HP参照)

■多目的室
新幹線はほぼすべての列車に多目的室が設置されています。
多目的室内は、荷物を置く網棚や鏡、コンセント、介助者用の椅子などがあり、新幹線の中で一番快適に過ごすことができる空間です。座席の背もたれを倒すとシングルベッドぐらいの広さになるため、横になってお過ごしいただくこともできます。
多目的室は通常カギがかかっているため、利用する際には乗務員さんに声をかければ利用することができます。多目的室はお身体の不自由な方が利用するスペースとなるため、健常者の方は利用することができません。空いている場合に限って、授乳や気分が悪い方も利用することができます。
また、車いすの方やお身体の不自由な方は、事前に予約することも可能です。予約の際は電話でJR各社の「介助の窓口」に乗車2日前までに連絡をすると対応してもらえます。
多目的室は無料で利用することができるのも嬉しいポイントです。

多目的室一例(※JR西日本公式HP参照)

■車いす対応トイレ
車いす対応座席や多目的室の近くには、車いす対応の多機能トイレが設置されています。
設備は車両によって異なりますが、通常のトイレよりも広く、手すりやオストメイト専用設備などが設置されています。車いすの方は広々としたこちらのトイレを利用できれば、移動中も安心ですね。

車いす対応トイレ一例(※JR西日本公式HP参照)

≪予約から乗車までの流れ≫

■予約
車いす対応座席や多目的室を予約する場合、通常の座席と同様に乗車日の1ヶ月前の午前10時から2日前までの予約となります。
予約をする前には下記の内容をまとめておくとスムーズに予約ができます。
・乗車日
・乗車区間
・乗車希望列車名、出発時刻
※第二希望、第三希望がある場合は伝えておくと、万が一、第一希望の予約ができなかった場合に早く対応ができます。
・座席の希望
・車いすの方、付添いの方の人数とおとな、こどもの区分
・車いすの有無、種類(電動、手動)

■乗車当日のサポート依頼
乗車当日はトイレや食事購入の時間、予期せぬトラブルなどを考慮して余裕を持って駅に到着するようにした方が安心です。改札で入場の手続きを行った後は、駅員さんに介助サービスをお願いしましょう。介助サービスとは、駅員さんがホームまでの案内や電車への乗り込み時に折り畳みのスロープを開いて乗車をサポートしてくれるサービスです。乗車時にお願いすると、降車駅にも連絡をしてもらえるので、降車駅でも同様のサポートを受けることができます。介助者の方がいる場合でも、気兼ねすることなく、乗車対応に慣れた駅員さんに依頼をすることで、乗車時のトラブルを避けることができます。
どのような対応をしてもらえるのか、不安な方は乗車前に一度乗車駅に確認をしておくと、安心して当日を迎えることができますね。

■乗車
新幹線内のトイレよりも駅構内の車いす用のトイレの方が内部も広く落ち着いて利用することができるので、出発前には一度トイレを済ましておくのがおすすめです。トイレや食事の購入が終わったら、待合室で待機し、乗車時間が近くなったら、駅員さんに案内してもらいましょう。新幹線に乗車したら、手配済の車いす対応座席まで進み、新幹線車内にておくつろぎください。 

福祉タクシー

飛行機や新幹線に乗るような遠方の旅行ではなく、近場に日帰り旅行や1泊旅行を検討している方は福祉タクシーでのご移動がおすすめです。また、新幹線でホテル最寄駅まで移動した後に、最寄り駅からの観光で福祉タクシーを利用する方も多いです。

≪福祉タクシーとは≫
お身体が不自由な方の移動をサポートするタクシーで、要介護認定のレベルを問わずにご利用いただくことができます。車両に電動リフトやスロープがついているため、車いすの方でもそのまま乗車ができます。


■介護タクシーとの主な違い
福祉タクシーと似たようなタクシーで「介護タクシー」と呼ばれているものもあります。
同じようで異なる点がありますので、下記より違いをご確認ください。

〇介護保険の適用有無
介護タクシーは介護保険が適用されますが、福祉タクシーは介護保険適用外となります。
その分、介護タクシーとは異なり、利用目的に制限がないため、観光の際の移動手段として活用するなど、幅広いシーンに利用することができます。

〇同乗者の可否
福祉タクシーの場合は、お身体が不自由な方ご本人のみでなく、ご家族なども同乗することができます。ご家族との旅行時の移動手段として利用したい場合は、福祉タクシーを活用しましょう。

〇運転手さんの資格
介護タクシーの場合は、運転手さんが利用者の方を介助するので、介護職員初任者研修の資格が必須となります。福祉タクシーの場合は、資格は必須ではありませんが、タクシー会社によっては、資格を持っている運転手さんがいることもあります。

※介護保険を使わないお身体が不自由な方のためのタクシーの通称として、「福祉タクシー」と呼ぶことが多いですが、正式な名称ではないため、地域やタクシー会社によって異なる呼び方をすることもあります。
ご利用予定のタクシーがどのような条件のタクシーなのか、上記のポイントを参考に事前に確認しておくと良いでしょう。

知っておくと嬉しい情報

ここまでは各交通機関を利用する際の基本的な情報を紹介しました。最後に、車いすの方との旅行を検討中の方に、活用いただきたい情報をご紹介します。ぜひ最後までご覧ください!

≪プライオリティ・ゲストカード≫
JALの場合、症状や空港・機内で必要なお手伝いをあらかじめ登録することができる「プライオリティ・ゲストカード」というものがあります。
一度登録すると、予約時にカード番号を入力すれば登録内容が自動で反映されるので、予約をスピーディーに行うことができます。予約のたびにお身体や車いすについての詳細の情報を伝える必要がなくなるので、便利です。

≪障がい者割引制度≫
各交通機関には障害者手帳や療育手帳などをお持ちの方に割引運賃をご用意しています。
介護者の方にもお得な割引もあるのでご旅行前にご確認ください。

■飛行機の場合
航空券の障がい者割引は、大人普通運賃の40%前後の割引率となります。
各航空会社では早く航空券を予約することで割引を受けることができる「早割サービス」が提供されていることが多いため、航空券の申込時期が早い場合は、障がい者割引よりも早割の方がお得となる場合もあります。
しかし、この「早割サービス」は搭乗日が近づくにつれて、割引は少なくなるため、間際の申込の場合は障がい者割引を利用して申込をした方が大幅にお得となることが多いです!
通常、料金が高くなってしまう直前の予約でも安く手配ができるのは魅力的ですね。
さらに、障がい者割引は障害者手帳をお持ちの方だけではなく、介護者の方1名も適用になります。(※航空会社により適用の範囲は異なります。) 介護者の方もぜひご活用ください。

■新幹線の場合
飛行機同様に新幹線をご利用の場合も、障がい者割引の適用があります。
第1種の障害者手帳をお持ちの方とその介護者の方1名は、普通乗車券や回数乗車券、普通急行券が割引率50%で購入可能です。
また、障害者手帳をお持ちの方がお一人でご利用になる場合は、第2種の方も普通乗車券が割引率50%で購入可能です。(※片道の営業キロが100キロを超える場合に限ります。)
新幹線に限らず、在来線を利用する際も同様の割引が適用となるので、近場への旅行の際にも活用できそうですね。
新幹線の場合は、割引対象となる乗車券に加えて、特急券(指定席券や自由席券)の購入が必 要となりますので、ご注意ください。

おわりに

不安なことが多い車いすでのご旅行時に、参考になる情報をご紹介させていただきました。
車いすの方や介護者の方の不安を少しでもなくすことができていれば嬉しいです。
東京オリンピック・パラリンピックをきっかけに、誰もが快適に移動や旅を楽しめる環境整備に向けた気運が高まっているので、これからさらに車いすの方が快適に移動ができるようになると良いですね!最後までお読みいただきありがとうございました!

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